先日、知人から生のクルミの実を頂きました。初めて見るくるみの実に「こんな形なのねぇ~」と驚きながらまじまじと眺めていました。
このコラムでは食物の持つ多種多様な力をを紹介しています。今回はくるみを食べることで得られる効果について、中医学的な観点から説明します。
漢方にも使われる胡桃(くるみ)
くるみは漢方の世界では胡桃仁(コトウニン)と呼ばれ生薬としても使われています。
本草綱目(ほんぞうこうもく)~薬用植物、動物、鉱物などを解説した生薬学の教科書~では、くるみを食べるとこのような効果があるとと記されています。
- 肌がしなやかになって、艶がでる
→ おそらくビタミンE、ビタミンB、カロテンの効果 - 髪が黒くなる
- 肝臓や腎臓を滋養する
- 精力が付く
- 腰痛を和らげる
- 足の痛みを治す
また、最近ではクルミに多く含まれる植物性オメガ3脂肪酸(血液サラサラ効果)が脳を活性化し、認知機能を予防改善するとされる研究が多く発表され、古くから健脳食として食されていたクルミの効能が科学的に実証されています。
余談ですが、くるみは中国語ではフータオレン (hu2 tao2 ren2 胡桃仁)と発音します。シンガポールの漢方薬局には大袋に入ったクルミが必ず置いてあります。
くるみの中医学的効能とは
温 | 身体を温める |
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甘 | 甘味がある |
身体への作用 | 緩める、滋養強壮、調和させる |
帰経 | 肺・肝・腎 |
関連する五臓 | 中医学としての「腎」を補う。中医学での腎は腎臓だけでなく、生殖器、耳、足腰に関わる機能全般を指す。 中医学としての「肺」は、肺臓だけでなく、気管支、鼻、皮膚などを含む。 中医学としての「肝」は肝臓だけではなく、血液に栄養を与え血流をコントロールする機能、自律神経系の調節に関わる機能全般を指す。 |
効能 | ・肺を温め冷えによる咳の改善 ・腸の乾燥による便秘の改善 ・腰痛の緩和 ・足腰の筋力の低下予防と改善 |
中医学的には、胡桃と腎・肺・肝のつながりを見ることができます(下の図を参照してください)。中国では古くから、美容と若返りの妙薬として知られてきたくるみですが、腎はまさにその役割を担っています。
胡桃(くるみ)の漢方としての使い方
- 冷えによる咳:人参・生姜と配合する(人参胡桃湯)
- 腸の乾燥による便秘:胡桃のみを食す。もしくは麻子仁・当帰などと配合する。
- 足腰の筋力の低下予防と改善:杜仲・補骨脂などと配合する。
体によい食材を日常的に食べて健康を保てば、特に薬など必要としないという「薬食同源」の考えが根付いている主人の故郷台湾や中華圏では、普通のスーパーでこのような胡桃のインスタントスープを手軽に買うことができます。
こちらは赤いキヌアと胡桃(くるみ)と黒ゴマのブレンド。黒ゴマもアントシアニンとセサミンで若返り食材‐漢方では特には白髪の予防と改善に良いとされています。
シンガポールではCold Storageのオーガニックセクションや、チャイナタウンの裕華百貨店で売っていました。
胡桃(くるみ)のお汁粉があるお店@シンガポール
こちらは、シンガポールで有名なデザートショップ、味香園甜品のメニュー。こちらで、くるみ汁粉が食べられます。左のメニューがショップイチ押しの人気メニューです。くるみの汁粉も堂々とランクイン!
余談:マンダリン中国語では、味香園甜品はウェイシャンユェン・ティェンピンと発音します。しかし、ここではMei Heong Yuenと表記されています。おそらく広東語かな。
胡桃(くるみ)の栄養
それでは、具体的にくるみを栄養面から見てみます。計算しやすいように100gもしていますが、1日100gは明らかに食べ過ぎです。ニキビができるか太るか、もしくはその両方になるでしょう。摂取量には気をつけてください。
エネルギー | 648Kcal (100gあたり) 100gは食べ過ぎ。カロリーが高すぎる! ランニング1時間半くらいしないと燃えない |
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脂肪 | 64.68Kcal |
タンパク質 | 14.6g |
リノール酸 | 37.8g オメガ6脂肪酸(リノール酸) |
炭水化物 | 13.5g |
リン | 343mg |
カルシウム | 95.7mg |
マンガン | 3.4mg |
マグネシウム | 150mg |
鉄 | 2.97mg |
亜鉛 | 2.6mg |
銅 | 1.21mg |
セレン | 6.6μg |
葉酸 | 95.7μg |
ビタミンB1、B2 | 0.26mg、0.49mg |
ビタミンE | 27.5mg そのうち8割が抗酸化作用のあるγ-トコフェロール |
オメガ3脂肪酸 | 8.9g 植物由来の α-リノレン酸(ALA)はアレルギー原因物質を抑制と血液サラサラ効果 |
生のクルミのむき方
むき方ですが、ナッツ殻割機で皮ごと挟むと綺麗にパカっと剥けました。ちなみに、素手で緑の表皮をむくと手先が2~3日、茶色になってしまったので手袋をして皮をむくことをおすすめします。
生クルミは苦くて食べらませんので注意してください。私は表皮を取って殻ごと水で1時間ほど浸水させた後に半日ほど乾燥させ、殻ごとエアフライヤーで煎りました。
そこまで感動はなかったけど、まぁ美味しいかなという感じです。個人的にはわざわざ生のくるみを買うほどでもないなという結論に至りました。
まとめ
くるみは、老化予防、美肌、便秘改善、血液サラサラに大きな効果を期待できる食材です。くるみの脂肪分はコレステロールを排出することでも知られていますが、やはり脂肪分が多いということはカロリーも高いのも事実です。
食べ過ぎるとニキビができたり、体重が増えたりします。一日、殻付き2個ほどを目安にして毎日少しずつ摂取してください。
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国際中医師が体質にあったおすすめ食材などのアドバイスなども行っています。気になる方は過去記事をご覧の上、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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