このページでは漢方(中医学)による陽虚の性質とおすすめの食材を説明しています。漢方(中医学)では、健康的でない偏った体質には8つあると考えます。
・気虚(体や内臓を動かす力が足りない)
・陰虚(体液が足りない)
・血虚(血が足りない)
・陽虚(体を温める力が足りない)
・気滞(体や内臓を動かす力の流れが悪い)
・水滞(体液の循環が悪く水が溜まっている)
・血瘀(血の循環が悪い)
・陽盛(体の熱が多すぎる)
陽虚の人の特徴は、以下です。
陽虚体質の特徴
- むくみがある
- とても寒がり
- 夜のトイレの回数が多い(2回以上)
- 冬に調子を崩しやすく、寒いと動きたくない
- 顔色が青白い
- 性欲減退
- 動悸がある
- 気力がなく疲れやすい
- 下痢気味で冷たいものを食べると悪化
- 温かい飲食物が好き
- 息切れがあり声が小さい
- 腰痛や関節痛で、温めると良くなる
- 生理は早く来るか遅く来るかで、正常範囲内に入らない
- 生理の出血量は多く、色は薄い
過半数の項目に当てはまる人は、陽虚の体質を持っていると見て間違いないでしょう。内臓の働きが虚弱で、体が芯から冷えています。
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陽虚の人が摂るべき食材
陽虚の人が摂るべき食材は、まず助陽の食材(体を芯から温める)です。気虚の食材でも触れましたが、数が少ないので改めて列挙しておきますね。
助陽の食材で手に入りやすいのは、
【野菜】
・にら※
【魚介類】
・赤貝※
・えび※
・まぐろ※
・いくら※
・たちうお※
・ムール貝※
【種実類】
・くり※
・くるみ※
・松の実※
【肉類】
・鹿肉※
・鶏レバー※
【その他】
・クローブ※
・シナモン※
・八角※
・フェンネルシード※
・ウイスキー※
です。
また、陽虚は内臓の虚弱が元になっていると書きましたが、とりわけ腎の虚弱が元になっていることが多いです。そのため、腎精を補う補腎の食材も書いておきます。
手に入りやすい補腎の食材は、
【主食】
・あわ
・黒米
・小麦
【芋類】
・むかご※
・山芋
【豆類】
・黒豆
・ささげ
・なた豆※
【野菜類】
・エゴマの葉
・枝豆
・カリフラワー(ブロッコリー)
・キャベツ
・ごぼう
・干し椎茸
・なめこ
・にら※
・芽キャベツ
・モロヘイヤ
【果物類】
・カシス
・ブルーベリー
・生プルーン
【種実類】
・カシューナッツ
・くり※
・くるみ※
・黒ごま
・松の実※
【魚介類】
・あわび
・いくら・すじこ※
・いしもち
・いとより※
・うなぎ
・うに
・海老※
・干し貝柱
・かつお
・さざえ
・さより
・ししゃも
・すずき
・たい※
・たちうお※
・ほたて
・まながつお
・ムール貝※
・クジラ肉※
【肉類】
・鶏肉※
・鶏レバー※
・豚肉
【その他】
・ココナッツオイル
・鶏の脂
・ローヤルゼリー
・クローブ※
・ハブ茶
などです。
陽虚の人が気をつけること
陽虚の人は本当に体が冷えているので、体を温める食材を多く取り入れて料理を作るといいでしょう。上の食材で※をつけた食材は体を温める食材です。
また、陽虚は気虚が進行・長期化したものですので、補気の食材も適度に取り入れて料理を作るのがいいでしょう。気虚の文章を参考にしてください。
また、本来は生薬として扱われるものなのですが、体の中を温める作用がとても強いのと、スパイスとして手に入りやすいので、それらの生薬も紹介しておきます。それは
・蒸し生姜パウダー(乾姜)
です。蒸し生姜パウダーはAmazonでいろいろな種類が手に入ります。S&Bからも通販で国産蒸し生姜パウダーを販売しています。
さらに、唐辛子や山椒、にんにくなど、強く体を温める香辛料の適度な使用もおすすめします。
陽虚体質の人へのアドバイス、まとめ
まとめると、助陽の食材、補腎の食材を中心に、補気の食材、体を温める香辛料を適度に取り入れて料理を作るといいでしょう。スーパーの食材で十分、陽虚改善の薬膳が作れます。
具体的なレシピ
・ニラと海老のピリ辛炒め
・ブロッコリーとくるみのにんにく炒め
・黒ごまかけ栗ご飯
・蒸し生姜パウダーとスパイスたっぷりのジンジャービスケット
・ブルーベリー漬けウイスキー
・芽キャベツと松の実のお粥
・鶏レバーの甘辛煮(臭み消しに蒸し生姜パウダー)
・豚肉と八角の紹興酒煮
・豚肉のクローブ煮(豚肉かたまりにクローブを刺して煮込んだもの)
・スパイスティー(シナモン、蒸し生姜パウダー、クローブ)
・なた豆茶
・たちうおとにんにくのソテー
・たちうおのカレー風味あんかけ
(※カレー粉にはフェンネルシードが多く入っています)
・海老と枝豆とブロッコリーのたまごサラダ
・ツナ(マグロ)とキャベツのサラダ
・黒米入りご飯のいくら海鮮丼
・ムール貝とにんにくの白ワイン蒸し
・海老とくるみのネギ炒め
などが挙げられます。
また、これも食材というより生薬になるので、ネット通販か漢方薬局でないと手に入りにくいのですが、陽虚には杜仲の樹皮を煮出したお茶がおすすめです(よく市販されている杜仲の葉のお茶ではありません)。
ネット通販の薬膳材料取扱店では神戸林商店、ネット通販をしている漢方薬局では温心堂、生薬販売をしているところでは中屋彦十郎薬局、ナガエ薬局、世伸堂薬局などで手に入ります。小分け販売には神戸林商店と温心堂が対応しています。
杜仲の樹皮は、30分ほど水に浸してから10分ほど煎じてお茶とするのもいいのですが、鶏肉や羊肉の塊と一緒に煮込むと、より体を温める力が強まります。
陽虚に直接使える食材は、他の体質の食剤に比べて少なめです。レパートリーに不足を感じたら、生薬もうまく使いながら、いろいろと薬膳を作ってみてください。