漢方・鍼治療

東洋医学から見た不眠の考え方① 【中医師監修】

今回のお題は、ご相談件数が多い不眠です。

不眠とひと口に言っても、寝付きが悪い、夜中に目が覚めてしまう、やたら朝早く起きてしまう、ぐっすり寝た気がしない等、症状は様々です。不眠に関してはお伝えしたいことも多いので2回に分けてご紹介します。

東洋医学の不眠の考え方

東洋医学では、「不眠は感情の起伏が臓器の機能を乱す為に起こる」と考えます。ストレスやショック、生活の急激な変化等により、心配する、腹が立つ、興奮する、落ち込む、といった精神状態が続くと、臓器が影響を受けて不眠に陥る、という考え方です。

ですから、診察では情緒を含む全身の状態を重視します。(臓器機能が弱り感情が不安定になる場合もありますが、話が複雑になるので、今回は感情起伏が臓器機能を乱す場合に限定します。)

東洋医学では、ストレス等体調変化の起因となる感情の起伏を怒・喜・思・憂・恐・驚・悲の7つに分類し、「七情」と呼びます。これら情緒は、不眠と深い関係があります。また漢方医学では、内臓を心(しん)・肝・脾・肺・腎の5つ(五臓)に分類しますが、不眠と関係の深い臓器は、心・肝・脾・腎の4つです。これら臓器は相互に影響し合ってもいます。今回は漢方医学の観点から、感情と臓器の関係についてご紹介します。

「 心」(しん):血液ポンプ&こころ

東洋医学でいう「心」(しん)は、血液を全身に送るポンプの役目の他、思考や意識、精神作用の中枢(=こころ)の働きもします。精神の安定、換言すれば陰(血)と陽(気)のバランスの安定こそが、正常な「心」機能につながると考えます。漢方でいう血と気は、手に手を携え全身を駆け巡る仲良しペアです。

陰の主な性質は静(抑制)・暗・下降・沈で、対する陽の主な性質は動(興奮)・明・上昇・浮です。気は全体としては陽ですが、その中にも陽気と陰気があります(人の性格ではなく、漢方医学用語です)。

東洋医学では、人体は昼は陽気が活発になる動の状態、夜は陰気が活発化する静の状態になり眠れる、と考えるんですね。ところが、何らかの要因で陰陽バランスが崩れると、陽気は本来の機能を失って「火」に変化⇒夜も動(興奮)の状態が継続⇒不眠になる、と考えます。

「 肝」:血液の貯蔵=魂の貯蔵

「心」と共に、血液と関係の深い「肝」。東洋医学の「肝」は血液の貯蔵庫で、全身の血液分布を調節します。また、自律神経系や中枢神経系の作用もあると捉え、血液の中に魂(!?)が宿ると考えます。即ち、血液の貯蔵庫とは、魂を蓄える場所でもあるんですね。

漢方でいう魂とは「肝」に宿るもので、欲望や感情等、人の本能的なこころを指します。漢方医学的には、怒りやイライラ、落ち込み等で「肝」が傷つく⇒ 血液貯蔵&調節機能が低下⇒不眠に陥る、と考えます。

「 脾」:気血製造工場

東洋医学での「脾」は、消化吸収や栄養代謝、内臓の下垂防止等を担当。飲食物から栄養素を吸収し、生きていくのに必要な気・血・水を生成して、全身へ送り込んでいます。

「脾」の機能が正常に働かなければ、消化機能が低下し、食欲減退や下痢、代謝低下、疲労増大他、様々な症状が現れます。

心配し過ぎたり考え過ぎたりして「脾」機能が低下⇒ 栄養素や水分等の代謝が不十分になり、気血の生成量も低下⇒不眠に至る、と考えます。

「 腎」:精力配送&水分調節役

東洋医学の「腎」は、全身に精力を送ると共に水分を調節しています。水分バランスが崩れると体の潤いが不足⇒「心」の潤いも不足し熱が発生⇒不眠になる、と考えます。では、次の記事で主な不眠症タイプと基本的な鍼治療を具体的に説明します。

経験豊富な日本人中医師が一人一人の体質にあった漢方を処方します。漢方相談$30、メール配送も可能です。漢方・鍼治療による不眠治療にご興味のある方はお気軽にご相談ください。お問合せはこちらから

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Nilufer
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