冷えは万病の元
現代女性の多くが夏でも体が冷えており、それがさまざまな不調に繋がっています。冷え性になると、お風呂に入っても体が温まらなかったり、手足がすぐに冷えてしまったりします。冷え性が慢性的に続くことで、むくみや腹痛、頭痛、めまい、生理不順、不妊、ひどい場合は自律神経失調症によるうつ病などを引き起こす原因となるのです。
健康な体を維持するには体を冷やさないこと、体を温めることです。体温は1度でも下がると免疫力が30%低下しますが、逆に体温は1度でも上がれば免疫は5倍から6倍にまで上がるのです。
体温は1度上がると免疫力は5~6倍アップする
女性はなぜ冷えやすいのか
男性に比べ女性に冷え性が多い理由のひとつは、「筋肉量の違い」です。筋肉は熱を作り出す働きをするので、筋肉量が少ないと冷え性になりがちです。20歳を境に毎年1%ずつ筋肉は衰えていき、年齢と共に基礎代謝が落ちていきます。
とくに第2の心臓と言われる下半身は老廃物を血流にのせて送り出すポンプの役目を果たしています。デスクワークで長時間座りっぱなし、普段あまり意識して歩かない方は下半身の筋肉が衰えてくるスピードが早くなり、血流が悪くなり冷え性につながります。一日の目安としては1万歩が理想と言われています。
さらに女性特有の月経や出産などにより、ホルモンバランスが不安定になり自律神経が乱れると体温調整機能のある交感神経の切り替えがうまくいかなくなり冷え性になりやすくなります。漢方や鍼などでホルモンバランスを整えるものひとつの方法です。
- 筋肉が少ないと冷え性になりやすい
- ホルモンバランスの乱れは自律神経の乱れを起こし冷えやすくなる
体温を恒常的に上げる方法
冷え性は病気ではありません。しかし東洋医学では冷え性は病を引き起こす根源になると考えます。また、冷え性によって日常生活が思うようにいかず悩んでいる女性は多くいるはずです。冷え性を改善させる方法はあるのでしょうか。
1.体温を上げるには基礎代謝をあげる筋トレを
基礎代謝とは、人が生きていくために最低限必要なエネルギーです。何もせずじっとしていても使うエネルギーのことで、基礎代謝の中で最もエネルギー消費が多いのは筋肉です。つまり、筋肉を鍛えて筋肉量を増やせば基礎代謝量が増え、自然と体温が上がり冷え性が改善するだけではなく、太りにくく痩せやすいカラダにもなります。
1日の総消費エネルギー=基礎代謝(約70%)+生活活動代謝(約30%)
基礎代謝を知るには、簡単に計算してくれるサイトで調べるか、もしくは基礎代謝を計算してくれるタニタやオムロンの体重計を買うことをおすすめします。
https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228736
ちなみに私はパーソナルトレーニングを始めてから2か月で基礎代謝が100カロリー増えました。何もしなくても15分のジョギング分くらいが基礎代謝として消費されていることになります。
パーソナルトレーニングをつけずに自分で筋トレをする場合は、下半身の筋肉を鍛えるスクワットが冷え性改善には特におすすめです。下半身には大きな筋肉が集中しており、また足は第2の心臓と言われるほど血液の循環に大きな役割を果たしています。
先ずはスクワット20回x3セットを週に3回から始めてはどうでしょうか。
筋肉が少ないとそもそも体内での発熱量も少なくなります。そのため身体の芯から温めることが難しく、冷え性となります。いくら厚手の布団をかけたりストーブにあたったりしても、一時的な解決としかならないのです。筋肉をつけて基礎代謝を上げ身体の内側から温めることが重要なのです。
基礎代謝を高めるには、筋肉を育てること。
筋肉を育てれば血流が良くなる。血流が良くなると冷え性は改善する。
2.食べ物で体温を上げる
体を冷やす・温める食べ物についてはある程度理解しておくことに損はないでしょう。しかし、これを食べたら治った!などある一つの食材を食べるだけで、魔法のように冷え性を治すことはできないことも同時に理解する必要があります。
冷え性を改善するには、バランスの取れた食事を日常的に摂取することが重要です。また、東洋医学的には、体質をより細分化し体質に合ったおすすめ食材というのもあります。ご興味がある方は、こちらの簡易セルフチェック表を参考にしてみてください。
A 気虚 | B 気滞 |
□ 年齢よりも老けて見られる □ 声が小さい □ 食が細い□ 食後に眠くなる □ 少し動いただけで息切れしたり汗をかく □ 物事をなかなか決断できない □ 休みの日はどこにも出かけず家でゆっくりしたい□ 常に便秘、または下痢 □ 体力がなくて疲れやすい | □ ため息をよくつく □ ストレスをためやすい□ よく咳払いをする □ 頭が重い □ おならやげっぷがよく出る □ 食欲にムラがある□ ブラジャーが苦しくてたまらない □ イライラしがちですぐに怒ってしまう □ アルコールを飲んでも顔があかくならない |
C 血虚 | D 瘀血 |
□ 爪が薄く割れやすい □ かかとがひび割れている □ 眠りが浅い □ 夢をよく見る □ こむら返りをよくおこす □ 月経量が少ない、月経不順がある □ 肌が乾燥している□ 寒がりで夏でも体が冷える □ 髪に潤いがなく抜けやすい□ 年齢のわりにシワが多い | □ 慢性的な肩こりや頭痛がある □ あざができやすい □ シミ・そばかすが多い□ 月経量が多い、月経痛が重い □ おなかや足の静脈が浮き出ている □ 顔色がくすんでいる □ 唇や歯茎が紫色っぽい □ 結果の出ないことをあれこれ考えがち □ 塩辛いものなど、味付けの濃い食べ物が好き □ 傷が治りにくい |
E 陰虚 | F 水滞 |
□ のぼせやほてりを感じる □ すぐに顔が赤くなる□ よく頭痛や腹痛を起こす□ ちょっとしたことで驚いたり焦ったりしがち□ 足や下半身の冷えが気になる □ 口が渇く□ 目が充血しやすい □ 眼が冴えてなかなか眠れない □ なんとなくそわそわして落ち着かない □ 寝汗をよくかく | □ アルコールや冷たい飲み物をよく飲む □ 咳や鼻水がよく出る □ むくみやすい □ 雨の日は調子が悪い □ 花粉症などのアレルギーがある □ トイレが近い□ 湿疹や吹き出物が出やすい □ 乗り物酔いしやすい □ 虫刺されの跡がなかなか消えない □ 年齢の割に下あごや下まぶたがたるんでいる |
例)水滞タイプにおすすめの食材
水分循環を改善する体を温め、利尿作用の高い食材。体に水分をためこむ塩分は控えめに。また、利尿作用が高くても、夏が旬の野菜や果物など身体を冷やす「陰性食品」はなるべく控えること。(なす・きゅうりなど)
・ リンゴ、ゴボウ、ニンジン、れんこん、海藻、アスパラガス、えんどう、グリーンピース、とうもろこし、白菜、くわい
・ 玄米、そば、大麦、はと麦、小豆、黒豆、みそ、醤油
・ ネギ、乾燥生姜、にんにく、とうがらし
・ 赤身の肉・魚
・ 納豆、キムチ、漬物、甘酒などの発酵食品
体温を上げるにはタンパク質の多い食事を
日常的に栄養バランスの良い食事を摂ることが前提ですが、運動時間が少なく、筋力が少ない女性は、タンパク質をより多めに摂取することをおすすめしています。タンパク質は、筋肉の栄養源であり、基礎代謝を上げる筋肉を育てるためには必須です。
巷では炭水化物抜きダイエットが流行っていますが、炭水化物は身体を活動させる大事なエネルギー源なので、炭水化物を一切抜いてしまうと体が省エネモードになり熱を発生させにくくします。カロリーが気になる方は、玄米や、紫芋などGI値が低い炭水化物を手のひらサイズ分摂取することをおすすめします。
筋肉を育てるにはたんぱく質が必要。
炭水化物を抜くと省エネモードになって体温が上がらない。
冷え性の人はファッションの見直しも
冷え性の人は、ファッションにも気をつけてください。人間の体は、寒さを感じると体内の熱を外へ逃さないように作用します。具体的には、血管を収縮させて熱を閉じ込めようとするのです。血管が収縮すると、身体は緊張状態となります。緊張状態で筋肉がこわばると血流が悪くなり、手足の末端まで血が届かなくなり冷えてしまいます。
残念ながらスカートは保温性が極めて悪い服装です。そのため、冷え性の人には適していません。仕事やお洒落でスカートの方が良いと思われるとき以外はなるべくパンツで過ごすように心掛けるのも、冷え性改善の地道な一歩です。温活グッズも積極的に活用してください。指先や体幹を体幹を温めることで、交感神経が緩み体全体が暖かくなります。
温活グッズ
- 5本足ソックス
- シルク腹巻
- 肩や首を冷やさないようストールを持ち歩く
- 冬であればお腹や腰にホッカイロなど
- 足首ウォーマー
- ひざ掛け
内臓の冷えにはよもぎ蒸しが効果的
内臓型冷え性の症状のひとつは、お腹やお尻が冷たく、手足は温かい状態です。内臓が温まらないので、胃腸の機能が弱く便秘や下痢の原因にもなりやすい方、むくむ → 老廃物が排出できない → 太るの悪循環にはまりやすい方等は「内臓冷え性」の可能性が高いです。
「内臓冷え性かも。。。」と思う方には下半身から温めるよもぎ蒸しを是非お試しください。よもぎ蒸しは膣や肛門の粘膜から有効成分が身体の奥まで行き届き、身体の芯から温めて、体内の血流を改善します。
内臓冷え症のタイプ
- お腹やお尻が冷たく、手足は温かい
- 胃腸の機能が弱く便秘や下痢をしがち
- むくむ → 老廃物が排出できない → 太るの悪循環にはまりやすい
まとめ
- 冷え症は改善できます。
冷え性の主な原因である、基礎代謝、筋肉量、ホルモンバランス、自律神経系を理解する - 冷え性解消には運動、食事、温活を積極的に取り入れる。
- 生活習慣、食事、ファッション、ストレス管理、睡眠なども見直してみる
- 水分補給にはミネラルや代謝をよくするハーブティーなどを活用する
- 体を温める食べ物を知り、バランスよい食事を心がける
- 質の良い筋肉を育てるために筋トレ後にはタンパク質を摂取する
基礎代謝アップ、筋肉量の低下には運動
ホルモンバランスと自律神経系には食事、睡眠
ファッション、生活習慣の見直しも冷え性改善の一歩
アロマ、漢方、温活、マッサージ、よもぎ蒸しなどを積極的に取り入れる